「のんとすず ― 命がつないだ物語」

日本テリア

🐾 のんとすず ― 命がつないだ物語

(のん)の章

私たち家族は、浜松で小さな食堂を営んでいます。
ある日、お店の仕入れで立ち寄ったスーパーに、一匹の小さな犬が迷い込んでいました。
汚れて痩せ細り、誰が見ても行き場を失った姿。人々は迷惑そうに遠巻きにして、誰も近づこうとはしませんでした。

あまりにも可哀想で、私はその犬を抱き上げました。
「こんな犬を連れて帰ったら主人に怒られるかも」と不安もありましたが、放ってはおけなかったのです。

家に連れて帰ると、主人は少し呆れたように見ただけで、怒ることはありませんでした。
むしろ犬に手を伸ばす姿を見て「この人は意外と動物が好きなんだ」と新しい一面を感じました。

準備が整っていない中、とりあえず洗面所に居てもらい、私はお店の支度をしながら何度も様子を覗きに行きました。
やがて息子が帰宅し、「どこにいるの?」とすぐに会いに行き、自然に受け入れてくれました。
その犬は(のん)と名づけられ、家族の一員になりました。

動物病院で健康を診てもらい、正式に登録をした時、「野良犬」ではなく本当の「家族」になったのです。
散歩も誰かが自然に連れて行き、お店でもお客さんに可愛がられ、犬を通じた小さなコミュニティも生まれました。

しかし、その日常は突然終わりを告げました。
ある日の夕方5時半、中田島砂丘入口の大通りで(のん)は車にはねられてしまい、急いで動物病院に連れて行きました。しかし帰る時には小さな棺に眠っていました。

残されたのはリードや食器だけ。
散歩に行くこともなくなり、家の中は静まり返りました。
「あの日、散歩に行かなければ」と自分を責め続け、会話も少なくなりました。

それでも(のん)は、小さくて優しい存在として私たちの心に残り、犬と暮らす喜びや命と向き合う大切さを教えてくれました。
そしてその経験が、次に迎える犬とのつながりへと続いていきました。


🌙 葛藤の章

(のん)を失ってからの3か月間、私は深い悲しみの中にいました。
「もう二度と犬は飼わない」と思う気持ちと、「犬のいない生活には耐えられない」という気持ちが何度も心の中でぶつかり合いました。

どうしても日本テリアを探したくて、県内のペットショップや県外の施設に足を運びました。
珍しい犬種と知ったのはこの時でした。だからこそ簡単には出会えず、出会えたのは珍獣扱いの年老いた老犬でした。
探しても見つからず、心は迷い続けました。

すずとの出会い ― 老人ホームの道沿いで

そんなある日、お店の電話が鳴りました。
「近くの老人ホームの道沿いの木に、お宅の犬が繋がれているよ」
慌てて受話器を置き、車のキーを掴んで外へ飛び出しました。

車を走らせながら、胸の鼓動が速くなるのを感じていました。
「まさか…うちの子?」――心の中で何度も繰り返していました。

老人ホームの横の道に着くと、
そこには一本の木に繋がれた小さな犬が、こちらをじっと見つめていました。
近づいてみると、その姿は確かに日本テリア
人懐っこそうな目で、静かに尻尾を振っていました。

交通量の多い道沿いで、危険な場所でした。
迷う間もなく、すぐに首輪のリードを外して車に乗せました。
小さな体が震えていたのを、今でもはっきり覚えています。

あの日――
それが、(すず)との最初の出会いでした。

🐾 すずとの出会い ― 老人ホームの道沿いで(続)

次の日、すずを動物病院に連れて行きました。
体を洗って少し落ち着いたものの、やっぱり心配で。
朝早く、キャリーに入れて車に乗せました。

診察室に入った瞬間、先生がすずを見て思わず声を出しました。
「えっ…!」
驚くのも無理はありません。
この先生は、ついこの前に亡くなった「のん」を見届けてくれた方でした。

そっくりな日本テリアを見て、先生はしばらく言葉を失っていました。
「また日本テリアですか? 本当に珍しいですね」と、
少し笑みを浮かべながらも、不思議そうにすずを見つめていました。

その時、先生にお願いして、
「この子が捨て犬なのか、飼い主がいないのかを調べてください」
と伝えました。

警察や保健所にも連絡が入り、
数日間、飼い主の情報がないかを確認してもらいました。
けれど、どこからも名乗り出る人はいませんでした。

――そして後日、正式に“うちの子”として迎えました。

その日から(すず)という名前が決まり、
小さな首に新しい首輪をつけた時、
すずはまるでわかっているかのように、
しっぽをゆっくりと振ってくれました。

あの日、老人ホームの横で出会った小さな命が、
今では大切な家族になりました。


(すず)は大人しく、噛みついたり無駄に吠えることもありません。
その穏やかな性格から、お店の常連さんが「散歩に連れて行きたい」と言うほど、人に愛されていきました。
自然に、家族にとって当たり前の存在となっていったのです。

📰新聞(折り込み)

やがて2〜3年が経ち、地元の新聞代理店が発行する(あさがおだより)に(すず)を応募して掲載してもらいました。
そこには地域のお宅のペットを紹介するコーナーがあり、写真と記事が載ったのです。

その写真を見た人から連絡がありました。

(数年前に譲渡した子犬が居たのですが、全く連絡が取れなくなり心配していた時に新聞の折り込みに見覚えのある日本テリアの写真が載っていたと)

「額の模様が同じだ」と気づかれ、実は6年前に行方不明になっていた日本テリアの子犬「直子」だったことが判明しました。

子犬の頃に記録されていた“額の模様”が、決め手になりました。
変わらないその模様を見て、「間違いない」と確認されたのです。

📰新聞と📺テレビ

この話を新聞記事にしたいと連絡がありました。

母犬や元の家族にとっては、思いがけない再会。
記事が出るとお客さんからも「見たよ!」と声をかけられ、(すず)は地域で知られる存在になりました。

さらに、その新聞記事をきっかけに静岡第一テレビからも取材依頼がありました。
番組で紹介された後は、仕入れに行くと「テレビ見たよ」と声をかけられ、嬉しいような、少し恥ずかしい気持ちになったのを覚えています。

🌸 永眠と記録

(すず)は2011年頃に永眠しました。
けれど、その生涯で本当に多くの人をつなげてくれました。
家族、お店のお客さん、新聞やテレビを通じて広がった地域の人々。

小さな日本テリアが繋いでくれた縁は、今も私たちの心の中に生き続けています。
だからこそ、この物語を思い出しながら少しずつ書き残し、忘れないようにしていきたいのです。

 

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