うちに猫がいる。名前はゆう。真っ白で、見た目はふわふわしていて、どこからどう見ても「おとなしそうな猫」だ。
でも、鳴き声だけは別の生き物だと思っている。
「ウォーウォー」って何?
初めて聞いたとき、正直なんの音かわからなかった。
「ニャー」でも「ミャー」でもない。強いて言うなら「ウォーウォー」。低くて、太くて、妙に主張が強い。近所の犬より存在感があると思う。
猫ってこんな声出るの?と思ってネットで調べたことがある。一応「猫の鳴き声」の範疇らしい。でも、うちのゆうを知らない人が突然この声を聞いたら、絶対に猫だとは思わないと思う。
慣れた今でも、夜中に突然「ウォーウォー」と始まると、ちょっとびっくりする。

かまってほしい時だけ鳴く
ゆうが鳴くのは、だいたい決まっている。かまってほしい時だ。
ごはんの前とか、体の具合が悪い時とか、そういう「切実な理由」ではない。ただ、かまってほしい。それだけ。
なのにあの声量で来られると、こっちも無視できない。ソファでくつろいでいても、仕事の手が止まる。「わかったわかった」と声をかけると、しばらく静かになる。でもまたしばらくすると「ウォーウォー」が始まる。
猫を飼うとはこういうことだと、最近ようやく腑に落ちてきた。
誰にも見せられない
おもしろいのが、この声を他の人に聞かせたことが一度もないことだ。
ゆうは臆病で、知らない人が家に来ると即座に姿を消す。どこに隠れているのかわからないくらい、完璧に消える。当然、声も出さない。
だから「うちの猫、鳴き声がすごくて」と話しても、誰にも信じてもらえない。「猫ってそんな声するの?」と言われるたびに、「いや、ほんとに聞いたらわかるんだけど」と言うしかない。
証拠がない。動画を撮ろうとすると、カメラを向けた瞬間に鳴き止む。
普通だと思ってた
飼い始めてしばらく、これが普通だと思っていた。
猫ってこういうもんでしょ、と。でも友人に話すたびに微妙な反応をされて、「あ、普通じゃないのか」と気づいた。
今では、ゆうの「ウォーウォー」は我が家の日常音のひとつになっている。聞こえないと、なんか静かすぎて逆に落ち着かない。
これが猫と暮らすということなのかもしれない。気がついたら、向こうのペースに合わせて生きている。
真っ白で、臆病で、でも声だけはやたらデカい猫。それがゆうだ。いつかこの声を録音できたら、ここに載せようと思っている。たぶん、しばらく無理だけど。




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